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「帰りこぬ風」三浦綾子著 1971年 主婦の友社刊 

先日,三浦綾子の書籍を読む機会がありました.この作品は,看護師の日記によってつづられています.1970年代,着物は裕福なご婦人が着るか,奮発して購入するものだったことがこの作品によってうかがわれます.(ネタバレありです)

 

6月12日 午後母と2人で街に出る.私は,10日出たボーナスで博多帯を買ってあげた.

看護師である自分のボーナスで親孝行のために博多帯を買ってあげました.どんな色の博多帯を買ったのでしょう.

 

主人公が20代前半なので,お母様も50代でしょうか...
ちなみに私が何本か持っている博多帯の中で,一番のお気に入りは,歌舞伎模様のものです.

 

 

結局,この看護師は,遊び人の医者に振り回され,そのお医者さんは自分を愛していると言いながら,裕福な可奈子の母と駆け落ちしてしまいます.その裕福な可奈子の母,栗巻夫人について,着物の描写がたくさんあります.

 

6月4日 可奈子さんによく似た,色白の,背のすらりとした和服姿のお母さん

 

6月30日 薄い透き通るような黒地の着物を着て,あでやかに笑った.

 

 

単衣から夏着物に衣替えをする頃でしょうか.紗袷などを着ているかもしれません.

 

私が持っているものでこの描写と似た雰囲気と言えばこんな感じでしょうか…

 

9月29日 薄紫に,黒い竹の葉を散らした着物を,見るからに優雅に着た栗巻夫人

 

時期的には単衣なので私ならこんな感じでしょうか…

私は黒い着物はパーソナルカラー的にNGなのでもともとほとんど持っていませんが,模様が多いと華やかになります.

 

時期的には単衣でしょうが,黒い竹の葉を散らした着物.地色は黒で,竹の葉は深いグリーンかもしれません.

妄想が膨らみます.

 

12月5日 黒い木の葉模様の上品な着物

 黒い木の葉模様の上品な着物も,地色が黒で,木の葉模様は加賀友禅などであったら素敵でしょうね.

 

このご婦人の着物の好みは柔らか物が中心なのでしょうね.

 

そのほかにも,可奈子が「ママはパパが大阪に仕事で行っているので追いかけて行ったのよ.京都で,私に着物を買ってきてくれるんですって」

 

裕福な栗巻夫人は地元ではなく,京都で着物をあつらえているんでしょうね.自分の着物のついでに,娘さんのものも選んでいる様子が伺われます.

 

着物の描写を考えながらの読書も楽しいです.

 

皆さんもこんな読書をしてみませんか?

 

本年も大変お世話になりました.

025年度も装いの千松ともどもどうぞよろしくお願いいたします.

 

来年2月からは着物のパーソナルカラー講座が始まります.

 

ぜひぜひご検討ください.

 

☆プロフィール☆

AFT認定色彩講師 札幌市立大学 大学院 製品デザイン専攻 2019修了

修士 (デザイン学)

 

 

現在 北海道大学 文学院 博士課程 人間科学専攻 在学中

 

    札幌芸術の森 ボランティア彫刻解説員

    小樽案内人検定 1級

 

北海道科学大学 非常勤講師

北海道中央調理技術専門学校

北海道医薬専門学校