その後、女性が羽織を着はじめたのは江戸時代の遊女になります。町方にもすぐに広まりましたが、風紀が乱れるということでしばらくすると禁制になりました。しかし、華美な羽織と対照的な黒一色の羽織を辰巳芸者が着て、羽織の格を上げたのです。
※辰巳芸者 江戸時代に深川で活躍した芸者。「芸」は売るが「色」は売らないという心意気を持った江戸時代の「粋」の象徴。
2.明治・大正・昭和時代の羽織
明治時代では、色無地、大正時代は、柄・色ともに派手になります。アールヌーヴォーやアールデコなどの西洋芸術様式の影響が見られたことや、化学染料の発達によりいろいろなバリエーションが生まれました。
その後茶羽織などがはやった時期もありましたが、昭和時代は入学式の母親の略礼装が黒の絵羽織でした。私の母も入学式の時は、黒絵羽を着た写真でしたね。
3.羽織を仕立てる時に必要なもの
(1)羽織に仕立てるとよい生地
無地にすると面白みに欠けるため、この季節を選ばない大きな雪輪柄は基調色が薄いベージュ(図3)なのでどんな着物にも合います。また、季節を感じさせないお花の柄(図4)も素敵ですね。右(図5)は季節を選びますが、この大胆で少し鮮やかな柄付けは大正ロマン風ですね。