5.緞帳について
幕といえば一般の劇場にかかっている緞帳と先述の定式幕はどう違うの?という疑問を持った方もいらっしゃると思いますが,緞帳は上下に開閉します.
参照http://enmokudb.kabuki.ne.jp/phraseology/2568
現在の豪華な緞帳になる前の江戸時代~明治初期の緞帳は粗末なものだったので,定式幕が許されない小芝居に使用されていたため,その頃は緞帳芝居と揶揄されていたようです.今からは想像がつきませんね.
先日訪れた歌舞伎座の緞帳は,開演前に緞帳の提供会社の説明があります.「この緞帳は○○株式会社様から・・・・」というような説明があり,例えば10月歌舞伎では3枚の緞帳を下ろしたり上げたりして順番に観客に見せます.開演より早めに訪れると,緞帳見物も楽しめますね.
ちなみにこのような緞帳ですが,たくさんの会社が作るノウハウを持っているわけではありませんが,私はその一つの京都郊外にある制作現場に行ったことがあります.もちろん大きなものですので,体育館のような場所で裏返しにされ作っていきます.模様を直接見ながら製作できないため,作る方は素晴しい技術だなと感心しました.