今回は、着物のカラーコーディネートをご自身で思いつくための簡単なポイントをお伝えします。
1.配色
2色以上の色を組み合わせることです。すべて同じ色だと配色を考えていることにはなりません。
それでは、どのように色の組み合わせを考えると簡単なのでしょうか?
2.同系色相配色と反対色
皆さんが洋服などで色の組み合わせを考える場合に、よく聞く言葉で「これは同系色ね。」とか、「反対色だから似合うね。」といわれると感覚的に想像はつきますね。しかし、色彩を専門に勉強する場合は、同系色や反対色という言葉がそもそも存在しません。
今回は、色彩を専門的に勉強するわけではないので、できるだけ一般的な用語に置き換えて説明します。
2-1.PCCSとは?
配色を考えるにあたり、PCCSについてまず、説明します。PCCSとは、日本色彩研究所が、昭和39年に考えた「初心者が配色を考えるのに適したシステム」です。ヒュー(色相)とトーン(明度と彩度の交わったところをグループ化したもの)を基準に配色を考えるやり方です。
2-2.色相とトーン
色相をキーワードにして配色を考えるやり方とトーンをキーワードにして配色を考えるやり方があるのですが、今回は色相を手掛かりにして考える方法を説明します。
3.色相を手掛かりする配色の考え方
そのためには、前回お話ししたPCCS色相環(図1)を使います。
PCCS色相環(図1)
3-1.PCCS色相環の特徴
(1)24色相である。
(2)各色相の中で一番鮮やかな色で構成されている。
(3)色相に番号がある。
例 1 紫みの赤
2 赤
8 黄
※詳しい内容が知りたい方は、公益社団法人 日本色彩検定協会発行 色彩検定公式テキスト3級をどうぞ。
3-2.同系(類似)配色
穏やかな配色を好み、似た色同士の配色を作りたい場合は、色相環の1色をまず選び、残りの色を時計方向もしくは半時計方向から最大3までの範囲の中で色の組み合わせ(図2 同系配色)を決めます。
例 8 黄色を基準に、5~11までの範囲でまとめています。(図3と図4)
もう少し詳しく説明をすると、着物と帯の関係は黄緑(10)と黄(8)で、帯揚げは緑(12)です。(ディスプレイ環境で色の再現は異なります)
図2 同系配色
図3 フラワーアレンジメント例
図4 着物例(帯締めの色は除く)
3-3.反対色(対照及び補色)配色
インパクトのある配色を好み、対照的な配色を作りたい場合は、色相環の1色をまず選び、残りの色を色相環の正反対の位置の色を選びます。(図5 反対色)を決めます。
この着物の例(図7)の場合は、色相環とディスプレイの都合上正確ではありませんが、着物は紫みの青(21)と帯は黄(8)という位置関係になります。
図5 反対色
図6 フラワーアレンジメント例
図7 着物例
4.まとめ
色相環を使って、位置関係で配色の方法を覚えると、得意な色の組み合わせというものがなくなります。今まで挑戦したことのない配色も思いつくことができます。
また、この人のコーディネート素敵だと思ったら、色相環をぼんやりと思い浮かべて同系なのかな?反対色なのかな?と少し意識するだけで格段に自分のコーディネートの引き出しも増えます。ぜひ挑戦してみてください。
花写真提供:フローリスト 佐藤進