着物と読書好きの私は,最近宮部みゆきの時代物と呼ばれるジャンルの小説を読むのがとても楽しみです.
最近読んだ本の中に,裾回しという言葉がありました.きっと八掛のことだろうと思い,周囲に聞いてみると古い?着物業界の方は聞いたことがあると話して,最近の方はあまり聞かないということが分かりました.(私の狭い範囲の調べです)
ということで,裾回し=八掛なのですが,なぜ八掛というか皆さん知っていますか?着物の袷の裏に使用することは知っていても,なぜ八?
そうです.八つの部分に布を裁っているからなのです.
『きもの文化検定公式教本Ⅱ』 p156参照
このように布が裁たれ,裏地として使用されているからなんですね.
八掛を選ぶときのコツ.
(1)表地から色を選択
・八掛を目立たせる場合.これは表地の模様のピンクから,色を抽出し赤にした例です.
もちろん派手になりすぎたら,年齢を重ねた後には八掛は取り換えることも可能です.
・八掛をなじませる場合
パソコン上では色が変わって見えってしまいますが,この例では,着物は薄いクリーム色.八掛は黄緑です.
お花の色から取りました.もちろん黄色でも構わないですし,模様の中の実の色の薄い紫でも好みです.
(2)訪問着などは濃い色の八掛を使用すると表に色が出てしまう場合があるので注意が必要です.
元々共八掛といって八掛が一緒についている場合もありますね.
・共八掛の場合
この場合は,着物の植物柄に元々付属していた共八掛です.大きなはっきりとした植物柄とベージュ色で薄い植物が描かれた八掛になります.
八掛は,堂々と見えるものや見せるものではないのですが,歩いているときにちらっと見えるという楽しみがあります.皆さんはどのような八掛にしていますか?作家ものと呼ばれる着物の中には作家さんに絵を描いてもらってそれをオリジナルの八掛にしている方もいて,とてもぜいたくな楽しみです.
まとめ
着物の仕組みをもっと知りたいので,いつか不要になった着物をほどいてみたいですね.
☆プロフィール☆
AFT認定色彩講師 札幌市立大学 大学院 製品デザイン専攻 2019修了
修士 (デザイン学)
現在 北海道大学 文学院 博士課程 人間科学専攻 在学中
札幌芸術の森 ボランティア彫刻解説員
小樽案内人検定 1級
北海道薬科大学 元非常勤講師「医療色彩」北海道科学大学 元非常勤講師「歴史と文化」