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「夏着物の敷居を下げよう!~夏の着物や浴衣でさわやかに過ごす。」

夏の着物は、一般的な生絹以外に自宅で洗濯が可能な麻、綿など素材がいろいろありますが、涼やかに過ごすことが一番大切なことです。

先日友人とシネマ歌舞伎を見るために着物で会う機会があったのですが、それぞれ着用していた素材や雰囲気は別々。絽(正絹)、夏紬(正絹)、小千谷縮(麻)、絽(ポリエステル)など夏に向く素材をそれぞれ着こなしていました。そこで、今回は夏に着る着物や浴衣の主なものを取り上げたいと思います。

 

 

1.夏着物(浴衣も含む)に向く素材や織り方など。

今回は素材や織り方にこだわることなく、代表的なものを上げていきたいと思います。

 

 

(1)絽の着物・・横に線模様が入ってみえるような着物です。緯糸に縦糸を隙間を作っておりあげていきます。夏着物の代表格です。絽というのは織り方のことなので、素材とは関係ありません。

 

 

 

(2)夏紬・・夏大島や夏塩沢など。絹素材のため自宅でざぶざぶ洗えたりはしませんが、見た目も薄く涼し気で、日常生活の上で麻や綿などの着物のしわが気になる方に向いているかもしれません。

 

 

(3)有松絞

 東海地方の有松絞りは、その絞りの技法で一目見ると「有松絞ね~」と分かります。もちろん浴衣ではなく、単などもありますが、今回は浴衣でよくみられる柄を見てみましょう。有松絞りには手蜘蛛絞り、横三浦絞りなどたくさんの技法があります。(参考:https://www.shibori-kaikan.com/tiedyeing

この技法は、江戸時代に竹田庄九郎らによって誕生しました。この生地は竹田庄九郎工房のもののようです。

 

 

(4)小千谷縮

 

2009年日本の伝統工芸で越後上布とともに初めてユネスコ無形文化遺産として登録されました。織り方によって、模様になっているもの、チェック柄、ストライプなどがあります。

 

 

5)綿麻

 綿と麻を使用している浴衣

 

 

(6)ポリエステル着物 

ポリエステル着物は、さっと洗えるし、しわも着きにくいので、雨の日や旅行先に大活躍。

ポリエステルというと途端に、「ポリなのね~」という感想をお話しする方もおりますが、風合いがほぼ生絹に近いポリエステル着物もあります。一枚持っておくのもよいですね。東レのセオαが有名です。

 

 

2.夏の帯や小物類

(1)帯 夏には透け感がある帯を着用します。博多帯の献上柄や浴衣には、半幅帯も向きます。

 

 

(2)半襟、帯留めなど 半襟には、蛍・金魚など季節感を感じさせるものがおススメです。帯留めには、ガラスやトンボ玉など、清涼感があふれるものが向きますね。

 


 

 

3.着物の内側から、涼しさを考えてみましょう。

涼を求めて下着に気を付ける方が多いと思いますが、こんな帯枕と帯板はいかがでしょうか?

一番熱がこもりやすい着物と帯の間。ヘチマの帯枕やヘチマの帯板もあります。ヘチマの帯枕は、涼しいこともありますが、厚さがやや薄いので、観劇などにも向いているかもしれません。

 

 

 

4.素早くお手入れ

麻はしわになりやすいので、外出先でも携帯スプレーの水を一吹き、軽くたたいて、自然乾燥している方が多いようです。その中には強者もいて、水の中にアロマを入れるという方も。一般的にはシミになってしまう可能性がありますので、おすすめはできませんが、すぐ洗える綿素材などの浴衣には気分転換にありかもしれませんね。

また、ポリエステル着物などは、帰宅してすぐ洗濯機に放り込めば、次の日には着用可能です。

 

 

5.色の効果

 夏は寒色系ですが、カラーコーディネートに関しては8月に詳しくお伝えします。

 

 

6.まとめ

 夏は着ている本人が心地よくて涼しく、相手にも涼しく感じてもらうということが大事になってきます。内から外からいろいろ工夫して北海道の短い夏を夏着物で楽しみましょう。

☆プロフィール☆

AFT認定色彩講師 札幌市立大学 大学院 製品デザイン専攻 2019修了

修士 (デザイン学)

現在 北海道大学 文学院 博士課程 人間科学専攻 在学中

    札幌芸術の森 ボランティア彫刻解説員

北海道薬科大学 元非常勤講師「医療色彩」北海道科学大学 元非常勤講師「歴史と文化」