pc_header-logo

「着物でお出かけ ニトリ美術館へ。 ~浮世絵を楽しむ~」

現在、小樽のニトリ美術館では浮世絵展(2020年第3期)を開催しております。今回は、夏らしく歌川国芳の骸骨が描かれている浮世絵『相馬の古内裏』も展示しているかも?

 

 

私が伺ったのは浮世絵展の2期の最後の日でした。今回は、保永堂版広重の「東海道53次」の版画と国芳の「東海道53對」が並べて展示していました。

 

 

1.広重の東海道53次の版について

 

 

 ちなみに、皆さん版画というものが一枚の版から複数枚刷ることができるのは容易に想像できると思いますが、広重の『東海道53次』は、初版の保永堂版と別な版(変わり図)があるということをご存知でしょうか?

 

 

初版の保永堂版の版が焼失してしまい、新しく版をおこしましたが、中には場所によってまったく同じ版(図柄)にしなかったものがあります。それを知ったうえで、広重の東海道53次の浮世絵を鑑賞するとさらに楽しみ方が増します。

 

 

具体的には、日本橋が最初の版より描かれている人物が増えていたり、戸塚では馬を降りていた人が乗る人に変更されていたりします。ご興味のある方は、 中右 瑛著『安藤廣重のナゾ』株式会社 里文出版をお読みになると漠然と浮世絵展を観覧するのではなくより一層楽しめます。

 

 

2.帯と主な図柄

 

 

今回久々浮世絵展を観覧するにあたり、今まで長い間調べていなかった自分の東海道53次帯の絵柄がどの宿場図なのかを初めて調べることにしました。


左「戸塚」と右「川崎」

 

 

ちなみに、初版の戸塚は「馬から降りているる人」の図なのですが、変わり図は「馬に乗りこもうとしている人」の図です。

 

 

上の2枚は、保栄堂版(初版)

 

 

下の2枚は、東海道53次の起点で有名な日本橋。

 

 

「京師」終点です。

 

 

この鴨川にかかる三条大橋の橋げたは、初版は木製で描かれているのがわかりますか?

 

しかし、実はその時代の京都三条大橋の橋げたは木製ではなく石で作られていたことが後ほどわかりました。

 

そのため、広重は実際には東海道53次を旅行していなかったのではという説があります。

 

 

その真偽はともかくとして、変わり図では橋げたを石に正しく修正していたそうです。ということでどうやら私の帯の図柄は保永堂版で初版のようです。

 

 

3.その他

 

さて、クイズです。『東海道53次』の一連の作品は53枚でしょうか?

 

 

答えは否。

 

理由は、宿場が53なので起点と終点は含まれておらず、55枚となりますね。

 

 

4.本日の着物

 

 

着物:有松風絞り浴衣・・浮世絵の「鳴海」によせて

 

帯・・東海道53次柄

 

帯留め・・自作帯留め東海道53次より「庄野」

 

 

歌川広重「庄野」は、強い夏の雨を身の出防ぎながら歩いている人を描いており、このシリーズの中でも大変人気のある作品です。

 

 

 

5.まとめ

 

 

さて、ニトリ美術館は3館ありますが、入場料は、全館を見るためには一般2000円かかります。
しかし、私は小樽案内人なので、入場料はすべて無料です。企画展だけは有料となります。

 

 

 ちなみに小樽案内人検定に合格すると「おたる水族館」「小樽市文学館」「鉄道記念館」等すべて無料となります。小樽にヘビロテのみなさん、よければ小樽案内人検定を受験してみてください。https://www.otaru-kd.com/

 

6.参考資料

 

(浮世絵 写真) 『広重東海道五十三次』 保永堂版初摺集成 小学館

 

 

 

 

☆プロフィール☆

AFT認定色彩講師 札幌市立大学 大学院 製品デザイン専攻 2019修了

 

 

修士 (デザイン学)

 

 

現在 北海道大学 文学院 博士課程 人間科学専攻 在学中

    札幌芸術の森 ボランティア彫刻解説員

北海道薬科大学 元非常勤講師「医療色彩」北海道科学大学 元非常勤講師「歴史と文化」