着物に興味を持つともうどうやっても着物が気になりますよね.箸置きを帯留めにできないかという些細なことから始まり,映画,テレビいろいろなシーンで着物姿に目が釘付けになります.ということで秋の夜長は読書タイム.本の紹介をしますね.
今回は,林真理子作『着物をめぐるものがたり』 新潮社 発行 11作品の短編で構成されています.
※今回の図は全てこの書籍からお借りしています.
(1)この本のこだわり 扉絵
扉絵は,その短編にまつわる着物の柄などや種類になっており,例えばこの編は加賀友禅と京友禅の違いに簡単に触れながらのお話です.そこで左の扉絵は,水野洋子作の加賀友禅の訪問着の柄(蘭)です.右は,絞りですね.紫総疋田地雲に丸紋刺繍模様振袖.その絞りの着物で姉妹の人生の明暗が決まります.
(2)ページ番号の横にも帯留めが・・
ページ番号の横には昭和初期の美しい帯留め写真が所々載っています.
左は,赤地銀獅子図留め金付き帯締めの留金の帯留め部分.いったいどのような帯留めなのでしょう,想像が膨らみます.この獅子モチーフは,昭和時代に帯などでかなり頻繁に使用されていますね.
右は椿に文鳥図留め金付き帯締めの留金 舞妓用 この帯留めに使われている石が気になるところです.きっと天然石を細かく細工しているのでしょう.
(3)唐子(中国の子供)
この中国の子供もよくアンティークの柄では見かけますね.好みがあるとは思いますが,昭和初期には唐から来たもの=上等品という意味合いがあったことや子孫繁栄ということでよく用いられていたようです.
(4)文章の中で
加賀友禅と京友禅の彩色の違いを文章であらわしています.例えば,「加賀友禅の京友禅との違いは花の中心を薄くし,外にいくほど濃くするということでしょうか.」です.内ぼかしの技法のことでしょうか.そのような目であまり見たことがなかったので,今度ぜひ両者を見比べる機会があったら,じっくり拝見してみたいと思います.
また越後上布の職人さんのお話では雪さらしのシーンが描写され,それに至るまでどれぐらいの時間や手間がかかるのかの工程が描かれ高価なのが納得できてとても面白かったです.
(5)まとめ
読書の秋,味覚の秋,そして,やっと来ました!着物の秋???
暑くて着物を着るのが億劫だった皆さんにとってもそろそろギヤが入りますね.週末には着ていなかった夏着物を着てあげて,衣替えもおすすめです.
素敵なおうち時間を過ごしてください.
☆プロフィール☆
AFT認定色彩講師 札幌市立大学 大学院 製品デザイン専攻 2019修了
修士 (デザイン学)
現在 北海道大学 文学院 博士課程 人間科学専攻 在学中
札幌芸術の森 ボランティア彫刻解説員
小樽案内人検定 1級
北海道薬科大学 元非常勤講師「医療色彩」北海道科学大学 元非常勤講師「歴史と文化」