東京はまだまだ暑いでしょうが、札幌は涼しくなり着物を着るのに向く季節になってきました。
さて、みなさんは秋を感じる色にはどのようなものが挙げられますか?
1.秋を感じる色
日本の伝統的な平安時代の色彩辞典によると秋の色の一例は紅葉・桔梗などと名付けられており、深い赤や緑が挙げられています。
2.現代の秋のカラーイメージ
夏の涼しさを感じる寒色系の配色に9月に入るとだんだん飽きてきて、デパートの秋色の売り場を見て秋を感じ、なんとなく穏やかな気持ちになるのを経験したことが皆さんも一度ぐらいはあると思います。秋のイメージカラーは「深く」「くすんだ」色になります。
以前、配色を考える方法が二種類あるとお話ししましたが、どちらかというと色相ではなく、秋はトーン重視で考えたほうが良いかもしれません。秋を感じるトーンは、dpトーンやdkトーンになり、この伝統的な配色が日本人の感性と一致するようです。
3.具体例
例えば写真の帯揚げですが、ほぼ誰が見ても秋を感じる色合いではないでしょうか?小物を秋色に変えるだけで季節の先取りもできますね。
帯揚げは顔から離れていますのでパーソナルカラーとは関係なくどなたでも得意不得意がなく使用することができます。
クッションも左から右へチェンジですね。
4.秋に向く着物の色
☆色相について:深い赤、緑、黄色、紫など。日本の伝統色名でいうと、えんじ色、茄子紺、芥子、桔梗色です。もちろん、もっと明度を高くして(明るめの色)にして、帯を落ち着いた色にするというのもO.Kです。
☆ トーンについて:dpトーンやdkトーンなど明度が中~低いものが秋らしさを感じさせると思います。
5.その他着物の色あれこれ
ちなみに、私は似た色の着物をたくさん持っているのではなく、12色相全ての袷の着物を持っています。その中でも好きな色というのがもちろんありますので、その色の着物は多いですが、あとはその色相の着物がないというのがありません。そのため、気分や体調によって着用する着物の色を変えています。
また、洋服と同様着物も素材感や模様で見え方の違いがありますので、そこを考慮するとさらにおしゃれを楽しめますね。
例えば、同じ緑系でも色無地ではなく柄によって印象はかなり変わります。
下の写真の左は緑と白の組み合わせのストライプ(縦線)、真ん中は緑に青のあられ(不規則な大きさの円)模様。右は黄緑ですが、赤い実のようなものがあります。
極端に言うと、左の白の模様がもっと多くなったり、太くなったりすると当然さらに明るい印象になりますし、真ん中のあられ模様がもっと大きくたくさんあると、緑が全体的に暗くなります。
これは人間の網膜上の見え方の問題です。
同様に、右の着物の赤い実がもっと大きくたくさんあると赤の印象が強く感じられるかもしれません。
5.まとめ
皆さんもう衣替えはしましたか?私は8月31日には夏着物をお手入れに出すものとしまう作業を終え、開けやすい場所には、まず単を移動させました。
単の時期はとても短いので、すばやく早めに秋を楽しみたいものですね。
☆プロフィール☆
AFT認定色彩講師 札幌市立大学 大学院 製品デザイン専攻 2019修了
修士 (デザイン学)
現在 北海道大学 文学院 博士課程 人間科学専攻 在学中
札幌芸術の森 ボランティア彫刻解説員
北海道薬科大学 元非常勤講師「医療色彩」北海道科学大学 元非常勤講師「歴史と文化」